矢毒地雷研究所

地雷デッキ・ファンデッキを研究するデュエマブログ

カードに対する定量的評価の提案(1)


「このカード強いけど弱いな.」

カードゲームを長くやっているプレイヤーならジャンルに関わらず一度は感じたことがあるのではないかというこの矛盾した感覚.

書いてあることは強い.しかし強いカードとは言い難い.いや弱くはないんだ.でも強くはない...?

この「強いけど弱い」という一見矛盾した感覚から新しいカードの評価方法を考えてみた.

※デュエマ以外のTCGを嗜んでいる方へ
今回はデュエルマスターズのカードを評価対象とするため,後述するコスト重みという重みを設けていますが,この部分をそのTCGにあったものに変えることで全てのカードゲームに適応が可能と考えています.

本編

まず,カードに対する評価に関して,"強いこと""弱いこと"は二者択一またはトレードオフの関係では無いという前提に立って考える.

具体的には,「このカードの強さは3.0で,弱さは2.5だな」と強弱を別々のパラメータとする.

確かに「強い」の対義語が「弱い」という感覚からすると奇妙に思える.しかし,カードには強い点と弱い点が同時に存在しているという観点から見れば自然ではないだろうか.

この手法でカードの強さを考えてみる.

まずカードのパラメータとして強さ弱さを用意する.

そのカードの持つ能力から強さ弱さに加点をしていく.点数の意味は

点数 意味
1.0点 比較的小さいまたはごく一般的な利点/欠点
1.5点 一般的なレベルの利点/欠点
2.0点 十分大きなアドバンテージ/ディスアドバンテージが得られる利点/欠点
2.5点 特筆すべき利点/欠点
3.0点 勝敗を決め得るレベルの利点/欠点
とする.

次に,これら2つのパラメータの比を取る.具体的には強さの値を弱さの値で割る.

次に求めた比に対してコスト帯ごとに重みを付ける.

これをコスト重みといい,下の表に示した値を上記した比に掛ける.

こうして比にコスト重みを掛け算出した値を強さ(Strength)対弱さ(Weakness)比(SW比)と呼ぶ.

すなわち,

SW比 = (強さ/弱さ) × コスト重み

となる. このコスト重みは「コストが重いカードほど強力な能力を持つ」という当然の前提から,コスト4を基準にSW比の調整を行うためのものである.
コスト コスト重みの値
1 ×1.20
2 ×1.15
3 ×1.10
4 ×1.00
5 ×0.95
6 ×0.90
7 ×0.80
8 ×0.70
9 ×0.70
10 ×0.65
10コスト以降のコスト重みは全て×0.65とする.ただし71や99のような普通の方法では召喚・唱えることができないものに関しては例外とする.

このようなプロセスで算出したSW比の値を下の表と照らし合わせることでカードの評価を行う.
0.0~1.0未満 単体では欠点が目立ち,強いとは言えない
1.0~1.5未満 そこそこ強力な能力を持ち,デッキの中堅となり得る
1.5~2.0未満 強いカードパワーを持ち,フィニッシャーもしくは環境に対する強力なメタとなり得る
2.0以上~ 非常に強力なカードパワーを持つ
※ただしSW比が2.6以上といった非常に高い値が出るものに関しては,これを異常値といい実際の強さよりも高い値が出ている場合があると考える.

具体例

今回はこのカードを例にとってSW比を求めてみる.



ZEROの侵略ブラック・アウト
コスト6 闇 7000
(ソニック・コマンド/侵略者ZERO)
・WB
・侵略ZERO:相手のターンの終わりに,そのターン相手がコストを支払わずにクリーチャーをバトルゾーンに出していたら,このクリーチャーを自分の手札からバトルゾーンに出してもよい.
・このクリーチャーが攻撃する時,バトルゾーンに自分のD2フィールドがあれば,相手のパワーが一番大きいクリーチャーを1体破壊する.


2016年に発売されたDMR-22「革命ファイナル第2章 世界は0だ!!ブラックアウト!!」にて登場したパックの表紙を飾るレジェンドカード.

ただ,前弾で登場したレジェンド達の衝撃的な能力に対し,ブラックアウトはどこか堅実で事前評価では「微妙」「弱い」といったものだった.

このカードの評価について考えてみる.

結論から言うとこのような結果になった.

ZEROの侵略ブラック・アウト
・強さ:5.0点
・弱さ:3.0点
・SW比:1.50


強さの内訳は
・マナ数を考慮しない手札からの踏み倒し能力(侵略ZERO) +2.0点
・コマンド種族 +1.5点
・ATの破壊能力 +1.5点


弱さの内訳は
・ATの破壊能力にD2Fが必要 +1.5点
・普通に召喚した場合の利点が薄い +1.5点

内訳をよく見てもらえば分かるように,強さは1つの能力でも「条件などを考慮せず強い点」のみを見て点数を付ける.(例:ATの破壊能力)

そして,その能力に条件やその他弱点と言える部分があればそれを評価し弱さに加点する.(強さからマイナスしない点に注意)

また,知っての通り侵略ZEROが環境の影響でより強力なものとなることも多く,これを2.5点としたい考える人もいるだろう.

このように評価する人の考えや環境によって変わる点数を誤差点とする.

誤差点を考慮した場合は次のようになる.

・強さ:5.5点(誤差点:侵略ZERO 2.0→2.5)
・弱さ:3.0点
・SW比:1.65

このように誤差をどの能力にどのように加えたかを明記する必要がある.

ただし,誤差点は強さまたは弱さ加点されるものであって,既存の能力の点数からマイナスするのものではないことに注意が必要.

このように算出したSW比を表3と比較すると,次のように結論付けられる.

SW比:1.50(誤差点無し)
→デッキの中堅となり得るカードと言える.

SW比:1.65(誤差点有り)
→環境に対する強力なメタとなり得るカードと言える.

ブラックアウト以外にも評価してみると面白そうなカード達は沢山いるが,冗長になるのでそれは次の具体例編に任せることにする.

あとがき

カードの事前情報が公開され,そのカードの評価がネット上で飛び交うのが普通の時代になりました.

それについて,不当な評価を受けてきたカードが少なからずあったのはご存知の通りです.

また,カードを評価する際に具体的な数字もあげずにただ気に入らないから「このカード強すぎ殿堂しろ」「ぶっ壊れ」と揶揄するといった言動に心当たりのある方も多いでしょう.

そこでカードの強さを数値化して評価したいそのような不当・不毛な評価が無くならない現状をどうにかしたいという欲求から今回筆を執った次第です.

まだまだ荒削りな部分も残っておりますが,今後のデュエルマスターズの発展に貢献できればと思います.

何かご意見・ご感想等あれば,記事下の「コメントを書く」からお願いします.

以上