矢毒地雷研究所

デュエルマスターズにおける地雷を研究・開発するブログ。

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【オールデリート】は殿堂すべきなのか?

2015年10月24日に発売されたDMX-21「マスターズ・クロニクル・パック」.その中に収録されていた1枚の最重量級呪文【オールデリート】

その僅か2ヶ月後の2015年12月18日,革命編拡張パック第3弾であるDMR-19「禁断のドキンダムX」にて登場した1体の特殊なクリーチャー【伝説の禁断ドキンダムX】

この一見何も関係なさそうな2枚のカードによって1つの,しかし多様な形を持つデッキタイプが生まれたのがもう3年も前のことになる.


≪オールデリートドキンダム≫


通称オールデリートと呼ばれる,文字通りの即死コンボを持ったデッキタイプ.
前回の記事で紹介したようにざっと数えても10個ほどのタイプが存在する.これほど多様な形を持つデッキが他にあるだろうか.ただ,現在あまり使われずロマンデッキとして眠っているものもいくつか含まれているが.

そう,ロマン砲という言葉がある.

決まれば絶大な威力や効果を発揮するものの、事前準備が非現実的だったり使用した際のデメリットがあまりにも大きなもの

とは,ニコニコ大百科からの引用であるが,これに該当するものがデュエルマスターズの中にもいくつかある.
有名なものとして【超神星ベテルギウス・ファイナルキャノン】のメガメテオバーン6や【ティラノ・リンク・ノヴァ】などがこれに当たる.

そして上に挙げたものを含め大抵が,盤面またはマナのリセットやシールド焼却など勝利に直結する反面コストが重すぎたり準備に時間がかかりすぎる.

そのため,このような実現が難しい能力や重量級呪文による豪快なフィニッシュは魅せプレイとしては良いものの実用性に欠け,せいぜいファンデッキとして存在するに過ぎなかった.

しかし3年前の冬にこの概念は大きく変わった.【オールデリート】という1枚の呪文によって.

打てば勝ち.唱えさえすれば,その時点で勝利が確定してしまう.
「相手もドキンダムXを使用していなければ」とか「相手の場にチャケなどのシールドセイバーサイクルが相手の場にいなければ」とかの注釈は付くが,一部のデッキを除き大抵の場合,その時点でゲームが終わる.

つまり,【オールデリート】を唱えた時点で,勝利するのはどちらのプレイヤーにしろゲームが終わるのである.

これはどこぞのボルバルザークを彷彿とさせる状況だ.
このようなあまりに強力な呪文のため,11という決して低くないコストと言えど実用性が高いと判断され,この3年間で様々なデッキタイプが考案されてきた.

結局,現在では,もしコスト制限無しで呪文を唱えられるカードがあれば,まず誰もが口をそろえて「オールデリート」と言うような状況となっている.
この現状に異を唱えるプレイヤーも少なからずいる.しかし"アド"という何かに憑りつかれた現代のプレーヤーは「打てば勝つカードの他にじゃあ何を唱えるの?」と言うだろう.

そしてこのカード,この状況に嫌気が刺した人々は言う.

「オールデリート殿堂しろ」と.


前置きが長くなったが,この記事では【オールデリート】というカードが殿堂入りすべきカードなのかを考えてみたい.


そもそも【オールデリート】というカード,オールデリートというデッキタイプのどこが悪いのか.
恐らくだが,規制賛成派の人たちの意見はこの3つに集約される.

  • デリートを打つだけで終わるなんてつまらない
  • 他のロマン砲が使われない,デリートばかりになる
  • デリートはデュエマじゃない

デリートを打つだけで終わるなんてつまらない

確かに【オールデリート】は打ってしまえばどちらが勝つにせよゲームが終了する.【伝説の禁断ドキンダムX】がどちらかに止めを刺すか,解放したドキンダムが何らかの方法で死ぬからだ.

しかしこの意見はオールデリートを批判しているようで,他のロマン砲,Exwin,ループデッキ等全てのコンボデッキに対しての批判となっている.
どういうことか.

幾つか例を見てみる.

  • メガメテオバーン6は勝ちさえしないが,決まってしまうと一部のデッキを除いて逆転がほぼ不可能になる
  • ティラノ・リンク・ノヴァはブロッカー,STをあまり搭載しない一部のデッキでは丸裸にされてダイレクトアタックを決められる
  • Exwin,ループもほぼ全て,ごく一部のデッキを除いて勝利が確定する

と他ロマン砲やExwin,ループでもこのようなことが言える.
あくまで上手い構築で上手く決まった場合の話だ.

ところで,ここまでに何度か「一部のデッキ」を除いて~という言葉を使っていることにお気づきだろうか.
これらロマン砲,Exwin,ループに分類されるのそれぞれのデッキの強さの本質的な違いは何か.

それはこの「一部のデッキ」の広さの違いなのである.

「一部のデッキ」の幅が狭ければ勝利する確率は高く,広ければ低い.
「コンボが決まる確率」を考えなければ,ただそれだけの違いである.

そしてこの「コンボが決まる確率」が高くかつ「一部のデッキ」の範囲が狭いデッキは確実に規制を喰らってきている.
例を挙げれば,キクチパトロール,バッシュギヌス,ベイBジャックなどなど......いくらでもある.

オールデリートがコンボが決まりやすく(唱えやすく),一部のデッキ(ドキンダムが入っているデッキ)の範囲が狭いかどうかは環境に依るとしか言えないが,もしオールデリートドキンダムというコンボが一定のラインを超えたと公式が判断したのなら即座に消えていたはずである.

しかし結果的に3年がたった今も細々と使用されている.次の殿堂発表で必ずしも規制されないとは言い切れないが,現在その一定のラインを超えているのだろうか.

そして,「デリートを打つだけで終わるなんてつまらない」と考えている方は恐らくシールドを割っていってダイレクトアタックを決めるというデュエマが好きな方なのだろうと思う.

私もスピード感のある殴り合いなどは好きだが,自分がそれをしたいが為に他人に自分の意見を押し付けるのは違うと感じる.

本来そういうゲームであることは否定できないが,実際の遊び方はそれだけでなく,もっとたくさんの可能性がデュエマにはあることを知っていただきたい限りである.

他のロマン砲が使われない,デリートばかりになる

これもデリートが嫌われる大きな一因である.
実際この理由で【オールデリート】が殿堂入りして欲しいと願っている方も多いことだろう.

しかしこの意見にも1つの見落としがある.
それは他ロマン砲の可能性を十分検討していないという可能性だ.

むしろ他の呪文でオールデリート並みのフィニッシュ力を持つデッキを開発すれば良いのである.

現在ではツインパクトと環境のインフレにより強力な呪文が増えてきている.

「デリートデリートとばかり言われてウンザリだ」と考えているのなら,他の呪文で同じくらいのフィニッシュ力を持つコンボを新たに作ればよい.

それがデリートよりも「コンボが決まる確率」が高く,「一部のデッキ」の範囲が狭いのならオールデリートよりも強力なデッキとなり得るだろう.

加えて言えば「オールデリートばかり」とは言うもののデリートにも多彩な型がある.
1つの型の中にも,プレイヤーの思想があり,それによってさまざまなカードがデッキを支えている.

別に【オールデリート】1枚で成り立っているデッキがオールデリートではないのだ.

オールデリートはもはや宗教に近い概念でさえある.
【オールデリート】1枚を唱えるために様々なカードを使いマナを伸ばしたり,耐え忍んだり,コンボを決めたりしている.

もし「コスト無制限で呪文を打てるカードの候補がデリートばかりで嫌だ」と感じている方がいるのなら,そのデリートを支える様々なカード達にも着目して欲しい.

別にデッキは1種類のカードで構築されているわけではなく,特にこのようなロマン砲型のデッキで,更にその呪文のコストが膨大であるのなら,そこには様々な工夫のやり方がある.

ゴールが同じというだけで,道筋が全く別物ならば,それらは同じデッキではないだろう.

デリートはデュエマじゃない

この意見も1つ目の意見とほぼ同じ思想に基づいているものだと感じる.

とにかくシールドを割ってダイレクトアタックを決めないと気が済まないという方なのだろう.

もしくは1ターン目の【ラッキー・ダーツ】からの【オールデリート】でデュエルが終わることが気に食わないという方か.

確かに1ターン目に確殺されるのは気持ちのいいものではない.
しかし,まずダーツは殿堂入りで1枚しか入っておらず,更に5枚あるシールドにデリートが埋まっているかどうかは誰にも分らない.

特に,オールデリート使用者は常に「封印落ち」という概念と隣り合わせにいることを忘れてはいけない.

ここに埋まってしまったカードは【スーパー・エターナル・スパーク】【龍脈術落城の計】などを除いて,ゲーム中取り出すことが困難だ.

これら多くの不安要素の上に成り立っているのが1ターン目ダーツデリートであり,通常決まることはほぼない.

そして,タイプにもよるが,1ターン目に考えなしにダーツを打つのは重大なミスである場合もある.

また「デュエマじゃない」との意見をよく聞くが,オールデリートの使用者は如何にして他環境デッキの猛攻や妨害をくぐり抜け,コスト11もある呪文を打つかを真剣に考えデッキを構築している.

それに対して「デュエマじゃない」という意見は「オールデリートを唱えた」という結果しか見ていないと言える.

また,オールデリートがExwinデッキか何かだと考えてる方が多いように感じる.
それは100%間違っているである,と言い切れないが,しかし明らかに誤りである.

確かにシールドと手札を全て山札に送り込み,残ったクリーチャーですら封印した上でのダイレクトアタックは,一見ほとんどExwinと変わりなく見えることは確かだ.

ただ,そのような勝ち方がExwinであるとするならば【ロスト・ソウル】などで手札を枯らした相手に【ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン】でシールド焼却してダイレクトアタックを決めるは特殊勝利なのか.ボルコンはExwinのデッキだっただろうか.

これについてYesと答える人はいないだろう.加えて言えば【オールデリート】のテキスト内に「勝利する」という文言はない.

少なくとも私が言えることは,オールデリートというデッキタイプは確かにデュエルマスターズのデッキであるということだ.

終わりに

この記事は私が実際にオールデリートを使用してきて感じた様々なことを文章に起こしたものだ.
そして主題であった「【オールデリート】は殿堂すべきなのか?」という問いに対しては,以上の文章を読んだ上で読者の方々自身で判断して頂きたい所存である.

以上